第三セクター

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第三セクターは、第一セクター(国および地方公共団体が経営する公企業)や第二セクター(私企業)とは異なる第三の方式による法人。略称は三セク(さんセク)。

第三の方式という意味にも、次の2通りがある。

意味A
NPO市民団体などの非営利団体(日本では第4セクターとされる場合もある)。
意味B
国や地方公共団体と民間が合同で出資・経営する企業。

過激「セクハラ発言」連発で懲戒の三セク職員、2審で逆転「処分無効」判決(2014年5月)

「俺のん、デカくて太いらしいねん。やっぱり若い子はその方がいいんかなあ」

などと過激な“セクハラ発言”を繰り返した男性職員。懲戒処分とされたが、処分無効を申し立てた裁判で2審・大阪高裁は「処分無効」の逆転判決を言い渡した。所属先が事前にセクハラに対する具体的な注意や指導をしていなかったことが理由となった。

「俺の性欲は年々増すねん」「この前、カー何々してん」。

女性職員の前で度が過ぎたセクハラ発言を繰り返したとして、出勤停止処分を受けた大阪府内の第三セクターの男性職員2人が、処分の無効などを求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁は3月、原告側の請求を認める逆転判決を言い渡した。女性がセクハラ発言に明確な拒否の姿勢を示さなかった上、三セク側が事前に具体的な注意や指導もしないまま突然、「解雇」の次に重い「懲戒処分」に踏み切ったことなどが「酷すぎる」と判断された。ややもすると“良識的”な世の女性を敵に回しかねない判決とも受け取れるが、果たして判決の詳しい中身とは。

大阪府内で集客施設を運営する三セク。派遣を含む職員約200人が勤務し、そのうち過半数の約110人を女性が占める。来場者も約6割が女性で、家族連れや学校などの団体も多く訪れる。三セク側は、内部でのセクハラが施設のイメージに致命的なダメージを与える可能性があるとして、これまで定期的に研修を開くなどし、セクハラ防止に力を入れてきた。

だが、実はその内側では男性職員によるセクハラ発言が繰り返されていた。

平成23年、派遣職員の女性が部屋で一人で勤務していると、既婚の男性職員が入ってきて会話を始めた。話題は「ダブル不倫」。浮気相手という複数の女性の年齢や職業を語り出し、果ては浮気相手とその夫との性生活にまで話が及んだ。女性職員にとっては閉口するしかない発言内容。もちろん不快感はあったが、強く抵抗の意志を示したわけではなかった。

「俺のん、デカくて太いらしいねん。やっぱり若い子はその方がいいんかなあ」

「俺の性欲は年々増すねん。なんでやろうな」

男性職員はその後もたびたび部屋に現れては、大胆な内容を口にした。女性職員が答えに窮していると、男性職員は笑いながら立ち去っていった。

平成23年11月ごろ、一人で勤務する女性職員のもとに再び男性職員が現れた。話題は「浮気相手」が車で迎えに来たという内容。そこから話が暴走した。

「この前、カー何々してん」

閉口する女性職員に男性職員は「何々」の部分を何とか言わせようとした。しかし、女性職員が「それアウトですよ」と言い返すと、男性職員は「あはは、アウトやな」と笑いながら去っていった。

女性職員がセクハラ発言を聞いたのは一人で部屋にいた時だけではない。休憩室にいた際、男性職員が他の職員との間で来場した女性客について交わした会話の内容もひどかった。

「今日のお母さんよかったわ…」

「かがんで(スカートの)中見えたんラッキー」

女性客を性的対象とした会話。女性職員は不快感だけでなく、「自分たち職員も同じような視線で見られているのでは…」と不安を感じた。女性職員はもう一人の男性職員からもセクハラ発言を受けていた。ただ、男性職員が平成22年秋に異動してきた当初はまだ“ソフト”な感じだった。

「給料全部使うやろ?足りんやろ?夜の仕事とかせえへんのか?時給いいで。したらええやん」

しかし、次第にセクハラ度が増していった。平成23年夏ごろ以降は暴走する。

「男に甘えたりする?せえへんやろ。女の子は男に甘えた方がいいで」

「(交際相手が)素人と浮気しまくるのと、風俗で毎月1万5000円ポッキリで身も心もすっきりしているのとどっちがいい?」

平成23年12月ごろには、男性職員に「マジック見せたる」と喫煙室に呼ばれ、昼食中だったが断れずにやむなく行った。マジックの途中、女性職員の手を男性職員の手に擦りつけるよう要求。少しだけ手を当てると男性職員は「ちゃんとして、もっと擦って!!」と声を上げ、強引に擦らせた。

女性はこうしたセクハラ発言に嫌気がさし、年末で職場を去ることを決意。他の派遣社員らもセクハラ発言に悩まされていたため、これを機に三セクの上層部に被害を訴えた。三セク側は翌24年2月、男性職員2人をそれぞれ30日と10日の出勤停止とする懲戒処分を出し、降格を命じた。

これに対し、職員側は「懲戒の理由とされた事実はない上、手続きが適正でなく、処分が不当に重い」などとして、処分の無効や降格の取り消しなどを求め、三セクを相手取り大阪地裁に提訴。地裁が請求を棄却したため職員側が控訴していた。

職員側は控訴審で「発言は、空気を読めないとか、品がないとか、マナー違反と評価されることはあるとしても、人格侵害に直結するわけではない」とした上で、女性職員自身に性的な関係を迫ったり、わいせつな行為をしたりはしていないと強調。「(女性職員に)嫌われていることに気づかず、親しいと思いこんで男女関係の雑談やジョークを口にしたに過ぎない」としていた。

また、三セク側から事前の注意や警告がなく、十分な弁明の機会も与えられなかったとも訴えた。

高裁判決は、一連のセクハラ発言について「軽微とは言い難い」としながらも、2人とも女性職員から直接抗議を受けなかったことから、そうした発言が許されるとの「勘違い」が背景にあったと認定。マジックで手を擦らせた行為は、「身体的な接触は手と手に過ぎず、時間も短かった」とし、女性職員が性的な意図を感じたと述べていないことから、セクハラには当たらないと判断した。

また、他の幹部も2人のセクハラ発言を耳にしながら何ら対応をしなかったことなどから、事前の警告や注意もなく懲戒処分にしたことは、「重きに失し、社会通念上相当とは認められない」と判断。処分は無効と結論づけた。

結局、降格による給与減額分の補填まで認め、1人に約250万円、もう1人に約170万円などを支払うよう三セク側に命じた。これに対し、三セク側は逆転敗訴という内容を不服とし、上告した。

国際的に用いられる意味(意味A)

国際的には、第三セクター(サードセクター)とは、NPO、市民団体その他の民間の非営利団体を示し、また、英語圏(特にイギリス)では、NPOや慈善団体など、公共サービスを提供する民間団体のことを指す。

第一セクターが公共目的のために国や地方自治体、すなわち「」が担う部分、第二セクターが営利目的の私的団体(営利企業)、すなわち「」が担う部分、そして、第三の方式としての公共目的のために市民レベル、すなわち「」が担う部分という意味である。

日本でよく用いられる意味(意味B)

日本においては、または地方公共団体(第一セクター)が民間企業(第二セクター)と共同出資によって設立した法人を指すことが多い。その場合、多くは設立が比較的容易でその運営方式も自由な株式会社の形態を採る。半官半民の中間的な形態が、第三の方式という意味である。

当初は、日本国有鉄道およびJR各社の赤字ローカル路線(特定地方交通線)を引き受ける事業主体としての第三セクター鉄道で有名になったが、それ以外にも大阪府都市開発など「民間活力の活用」というスローガンのもと、地域振興などを目的とした第三セクター会社が設立されており、1980年代後半以降は政策的に各地に広がった。

なお、この意味での第三セクターという用語が日本で公式文書に初めて用いられたのは、1973年第2次田中角榮内閣の元で閣議決定された「経済社会基本計画」である。

範囲

第三セクターは法的に概念が規定されているわけではなく、株式会社財団法人など、それぞれの法人形態に従った制度が適用されることになる。

法人数

全国で、株式会社又は有限会社形態のものが3000社、財団法人が4000法人、社団法人500法人あるとされる。(いずれも概数)以下は、もっぱら会社形態の第三セクターについて述べる。社団法人・財団法人3,723、会社法法人3,594、地方三公社1,084、地方独立行政法人83。

特質

宮木康夫による第三セクターの効用

  • 利益追求を目的とする手法ではなく、もっぱら公共的事業をコストミニマムに実行するための手法である。
  • 株式会社形態である利点を活用することにより、第一セクターに係る収支改良(多くの場合赤字軽減)が可能となる。
  • 施主(自治体)から付託された仕事(公共領域)を、もっとも効果的・効率的に実行するための、自主性をもったプロ集団である。

行っている事業

不良債権となった第三セクター

  • 膨大な債務を抱え破綻する第三セクターが続出している。東京都大阪市の臨海開発関連の会社などがその代表格である。また、2006年に表面化した北海道夕張市の財政破綻には観光開発を担う第三セクターの赤字も関係している。
  • 平成の市町村合併は、ある一面では市町村行政の総点検というべき作業でもあったが、第三セクターの点検・処理については「先送り」されることが多かった。結局、その進路を根本的に問うことにはならなかった。市町村合併は特例法に定める期限があったことから、市町村合併の成就を何よりも優先させた結果、他の自治体の事務にくちばしを挟むのを遠慮した傾向もある。
  • 公共施設の管理委託を受けている第三セクターも多いが、指定管理者制度の導入においても、住民にとってのサービスの向上、低コスト化といった本質よりも、当面の処理として既存の委託先として第三セクターを選定した自治体も多く、行政改革が不十分な面がある。しかしながら、地方財政の逼迫度は増しつつあり、行政改革の一つとして第三セクターについてもそのあり方から含めた検討が求められている。
  • 第三セクターが民間から融資を受ける際に地方公共団体が損失補償をしている場合が多々あり、破綻後債務を地方公共団体が引き受ける場合がある。
  • 自治体の三セクの整理や廃止の際に、資金調達のため「第三セクター等改革推進債」(三セク債)の発行が認められてきたが、2013年末に日本政府は、発行対象を「2014年3月末までに抜本的改革に着手していること」を条件として追加したため、619法人が発行対象から外れ、また、うち395法人は清算も困難となっている。

関連項目